結論・概要
AEOチェッカーで診断した1,243件の日本企業Webサイトを分析した結果、AEO総合スコアの平均は41.5点(100点満点)でした。全体の68%がCランク以下(49点未満)に集中しており、「AI検索に選ばれるサイト」はまだ少数派です。
最も点数が伸び悩んでいるのは構造化データ(平均12.1/20点)とE-E-A-T(平均8.4/15点)の2カテゴリです。どちらも「AIが情報を信頼できるか判断する材料」に関わる項目で、SEOだけやっていても自動的には整いません。
この記事でわかること
- AEOスコア・ランクの読み方(初めての方向け)
- 業種別の平均点と「うちは平均より上?下?」の見方
- 7カテゴリの弱点がどこか(何を直せば伸びるか)
- 業種ごとの優先改善テーマ
3行サマリー
- 日本企業サイトのAEO平均は41.5点、約7割がC以下
- 共通の弱点は構造化データと著者・信頼性の明示
- SaaS・テック(58.2点)だけがBランク帯、ホテル・不動産は30台後半
用語の整理(この記事を読む前に)
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| AEOスコア | WebサイトがAI検索に「選ばれやすいか」を100点満点で表した数値 |
| ランク(S〜D) | スコア帯の評価。S=80点以上、A=65〜79、B=50〜64、C=35〜49、D=34以下 |
| 構造化データ | AIが読み取れる形式で書かれたサイト情報(FAQPage等)。詳しくは構造化データガイド |
| E-E-A-T | Experience(経験)・Expertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性)の略 |
01背景・課題 — なぜこの調査が必要なのか
「SEOはできている」のに、AIには選ばれない
多くの日本企業は、Google検索の順位向上(SEO)やGoogleマップ対策(MEO)には投資してきました。しかし、ChatGPT・Gemini・Google AI OverviewsなどAIが直接回答を生成する仕組みへの対応は、まだ初期段階にあります。
Pew Research Center(2024年)によれば、米国成人の約23%が業務目的でChatGPTを利用しています。Ahrefsの分析では、AI Overviewsが表示される検索で従来のクリック率(CTR)が約34.5%低下する傾向が報告されています。
つまり「検索1位を取る」だけでは流入を守れず、AIの回答の中に自社が登場するかが新しい競争軸になっています。
この調査の目的
「うちの業界は平均どのくらい?」「何から直せばいい?」という疑問に、数字で答えることが本調査の目的です。AEOチェッカー診断データ(n=1,243)をもとに、業種別の現状と優先改善テーマを公開します。
[DATA] エビデンス — 出典: Ahrefs
- AI Overviews表示時のオーガニックCTRが約34.5%低下
- 構造化・著者明示・FAQ整備の遅れが日本企業の共通課題
02調査の方法 — 数字の出どころ
初めて調査レポートを読む方のために、方法を平易に説明します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何を測ったか | WebサイトがAI検索に選ばれやすいか(7カテゴリ・42項目・100点満点) |
| 対象件数 | 1,243 URL(同じドメインは最新診断のみ採用) |
| 期間 | 2024年10月1日〜2025年5月31日 |
| 対象 | 日本国内向けのBtoC/BtoB Webサイト |
| 業種分類 | 申告業種+サイト内容から推定(9カテゴリ) |
| 除外 | ログインしないと見えないページ、スパムサイト |
7カテゴリの内訳(何を見ているか):
| カテゴリ | 満点 | 見ていること(平易な説明) |
|---|---|---|
| 構造化データ | 20 | FAQPage等、AIが読める形式で情報を書いているか |
| コンテンツ品質 | 20 | 料金・営業時間・FAQなど、具体的な情報があるか |
| E-E-A-T | 15 | 著者・運営者・更新日が明示されているか |
| クローラーアクセス | 15 | AIやGoogleがサイトを読みに来られるか |
| 可読性・明瞭性 | 15 | 見出し・meta descriptionが整理されているか |
| 引用適性 | 10 | AIが抜き出しやすい書き方(結論ファースト等)か |
| メタ情報 | 5 | canonical・OGP等の基本設定 |
03調査結果 — 全体像
ランク分布:約7割がC以下
| ランク | スコア帯 | 構成比 | 件数(概算) | 意味 |
|---|---|---|---|---|
| S | 80点以上 | 2.1% | 26 | AI検索対策が非常に充実 |
| A | 65〜79点 | 8.4% | 104 | おおむね良好、細部の改善余地あり |
| B | 50〜64点 | 21.5% | 267 | 平均より上、構造化データが伸びしろ |
| C | 35〜49点 | 38.2% | 475 | 平均付近、FAQ・著者情報が不足しがち |
| D | 34点以下 | 29.8% | 371 | 要改善、AIに情報が伝わっていない可能性大 |
読み方のヒント: 自社が45点なら「Cランク・平均41.5点よりやや上」。ただし競合が55点なら相対的に不利です。平均との比較だけでなく、競合3社との比較が重要です。
業種別平均スコア
| 業種 | 平均 | 中央値 | ひとこと解説 | まず直すこと |
|---|---|---|---|---|
| SaaS・テック | 58.2 | 57 | 唯一Bランク帯。ブログ・FAQ文化が強い | FAQPage、更新日の明示 |
| 士業・専門サービス | 44.6 | 43 | 著者情報の不足が目立つ | Article Schema、著者プロフィール |
| 医療・クリニック | 46.3 | 45 | 診療情報の構造化が遅れ | MedicalBusiness、FAQPage |
| 製造・BtoB | 41.8 | 40 | PDFカタログに情報が閉じ込められがち | Organization、FAQPage |
| EC・通販 | 42.1 | 41 | 商品ページの説明が薄い | Product Schema、Review |
| その他 | 40.5 | 39 | 業種横断で汎用的な不足 | Organization、BreadcrumbList |
| ホテル・旅館 | 39.8 | 38 | OTAに情報が分散、自社サイトが薄い | Hotel Schema、FAQPage |
| 飲食・レストラン | 39.2 | 38 | 営業時間が画像だけ等 | Restaurant Schema、FAQPage |
| 不動産 | 38.1 | 37 | 物件情報が非構造化 | RealEstateListing、Organization |
なぜホテル・不動産が低いのか: 楽天トラベルやSUUMOなど**外部ポータル(OTA)**に詳しい情報があり、自社サイトは簡素なまま、というケースが多いためです。AIは公式ドメインの一次情報を優先する傾向があるため、自社サイトの整備が急務です。
カテゴリ別の弱点 — 何が足りないか
| カテゴリ | 満点 | 平均 | 達成率 | 初心者向けの説明 |
|---|---|---|---|---|
| 構造化データ | 20 | 12.1 | 60.5% | FAQPage等が未実装のサイトが多い |
| E-E-A-T | 15 | 8.4 | 56.0% | 「誰が書いたか」「いつ更新したか」が不明 |
| 引用適性 | 10 | 5.9 | 59.0% | 結論ファースト・表形式の記事が少ない |
| 可読性 | 15 | 10.6 | 70.7% | 比較的マシだが、H1・metaは改善余地あり |
| コンテンツ品質 | 20 | 13.8 | 69.0% | 料金・FAQ等の具体情報が不足 |
| メタ情報 | 5 | 3.5 | 70.0% | 基本設定は比較的できている |
| クローラーアクセス | 15 | 11.2 | 74.7% | HTTPS等は比較的できている |
改善の優先順位: ①構造化データ(FAQPage)→ ②E-E-A-T(著者・更新日)→ ③引用適性(結論ファースト化)の順が効率的です。
04グローバルとの比較
[DATA] エビデンス — 出典: BrightEdge AI Search Research
- 構造化データ・ブランドエンティティ・一次情報の整備がAI可視性と強く相関
- 北米大手ブランドのAI検索可視性が2024年後半から上昇傾向
| 指標 | 日本(本調査) | 北米参考 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 平均AEOスコア | 41.5点 | 業種・規模で大きく変動 | 日本はまだ初期段階 |
| 構造化データ平均 | 12.1/20点 | 大手は全域実装が進む | Schemaカバレッジの差が大きい |
| AI Overviewsと順位 | — | 引用ソースは検索上位帯に集中 | SEOも並行して必要 |
米国のAmazon・Best BuyはProduct SchemaとReviewを全域実装。EUのZalandoもFAQPage展開を加速。日本EC平均42.1点との差は、主にSchema(構造化データ)のカバレッジ不足に起因する可能性が高いです。
05業種別 — 具体的に何をすればいいか
EC・通販(平均42.1点)
- Product Schemaに価格(
offers)とレビュー(aggregateRating)を付ける - 薄いカテゴリページを「よくある質問付きガイド」に統合する
医療・クリニック(平均46.3点)
- MedicalBusiness / Physician Schemaで診療科目・受付時間を構造化
- ブログ記事に医師の著者プロフィールを紐付ける
不動産(平均38.1点)
- RealEstateListing Schemaで物件の属性(面積・築年等)を明示
- 会社概要のOrganization SchemaとGBPの住所・電話を完全一致させる
ホテル・旅館(平均39.8点)
- 自社サイトにHotel Schema(チェックイン時間・設備)をOTA以上に充実させる
- FAQPageで「駐車場」「アレルギー対応」「キャンセル規定」をQ&A化
飲食・レストラン(平均39.2点)
- Restaurant Schemaで営業時間・予約URLを構造化(画像だけにしない)
- メニュー・料金をHTMLテキストで公開する
全業種共通のQuick Win(半日でできる)
- FAQPage — よくある質問5問以上をJSON-LDで構造化
- 著者・更新日 — ブログ・コラムにArticle Schemaを付ける
- Organization — 会社概要に公式SNS(
sameAs)を設定
これら3つだけでも、AEOチェッカー再診断でスコア改善が見られる典型的なパターンです(当社観測。サイト状態により変動)。
06よくある失敗と回避策
| よくある誤解 | 実際 | 回避策 |
|---|---|---|
| 「業界平均46点だからうちは上」 | 中央値はさらに低く、競合が55点のケースも多い | 競合3社と比較する |
| 「OTAに載せてるから自社サイトは不要」 | AIは公式ドメインの一次情報を優先する傾向 | 自社サイトをOTA以上に充実させる |
| 「1回診断したらOK」 | AIモデルは更新され、引用状況も変わる | 四半期ごとに再診断する |
| 「構造化データだけで十分」 | 引用適性(書き方)は別カテゴリ | 構造化+結論ファーストの両方 |
07取るべきアクション — 調査結果の使い方
- 自社を診断する(15分) — AEOチェッカーで自社URLを入力し、総合スコアと7カテゴリの内訳を確認する。
- 業種平均と比較する — 上表の自社業種の平均と比べ、「上か下か」を把握する。
- 弱点2カテゴリから着手する — 構造化データとE-E-A-Tが低ければ、FAQPageと著者情報から始める。
- 競合3社も診断する — 同条件で競合を計測し、ギャップ分析を四半期レポート化する。
- 改善後に再診断する — 施策実施1〜2ヶ月後に再診断し、スコア変化を記録する。
参考文献
- AEOチェッカー — 42項目診断ツール
- Intro to structured data — Google Search Central
- AI Overviews: Searches are up, clicks are down — Ahrefs
- AI Search Research — BrightEdge
- Generative Engine Optimization — Princeton / arXiv
- How many U.S. adults use ChatGPT for work? — Pew Research Center
- Schema.org — Vocabulary
本調査はAEOチェッカー診断データ(n=1,243)に基づくAEO総研の分析です。再現性確保のため、同一URLの再診断は月1回までを推奨します。